Cucina Italiana

クチーナ・イタリアーナ(イタリアの台所)
第28号

「ナポリピッツァに不可欠なビール酵母/
古代ローマ式ピッツァのピンサ」

はじめに



 ピッツァは、冷凍の生地を買ってきてトッピングして、焼けば出来上がる簡単な料理と思われています。もちろんこれでもそれなりのピッツァはできるのですが、本当のおいしいピッツァはできません。実は本格的なピッツァを作ろうとすると、厳選した材料と経験の必要な料理であることが判ります。
 
 職人技にもつながる経験は、これは作っていただいて会得していただく方法はありません。とは言っても、コーディネータのヤマネさんによると腕に覚えのある人や、ナポリ生まれの人がピッツァを作るとどういう訳か、おいしいピッツァができるそうです。イタリアでは家庭用の鉄製の薪釜(オーブン)があり、ピッツァパーティはイタリアのホームパーティでも定番となっているとのことです。
 そこで第28回では、ご自分でピッツァにチャレンジされる際の参考に、ピッツァ作りのポイントとなるビール酵母のお話をします。また併せて、ピッツァの原型、古代ローマのピンサを出すお店をご案内します。
 
協力者の紹介と1号から10号の刊行内容
http://www.ivc-net.co.jp/food/mailmaga/2016/publish.html
 
11号から20号の刊行予定
http://www.ivc-net.co.jp/food/mailmaga/2016/publish2.html

 

ナポリピッツァに不可欠なビール酵母



家庭用の鉄製の薪釜(オーブン)

 ピッツァ作りで、特に難しいのが生地作りと言われています。本格的なナポリピッツァを焼く場合には、市販されている通常の小麦粉やイーストを使わないのが原則です。例えばナポリのピッツァ職人を養成しているピッツァ・コンサルティングでは、イタリア産のカプート(CAPUTO)社の小麦粉と、新鮮なビール酵母を使うことを推奨しています。とは言うもののカプート(CAPUTO)社の小麦粉と新鮮なビール酵母を使えばおいしいピッツァが出来るかと言えば、そうではありません。イタリア産カプート社の小麦粉とビール酵母は、本格的なピッツァの前提であって、結論ではないのです。
 
 とくにビール酵母は扱いが難しく、経験の無い人は、生地作りの際にビール酵母の活性を引き出せなかったりします。その結果、固いピッツァが出来てしまいます。慣れるまでは、生地の生成の仕方が結構難しいのです。そのためナポリのピッツァ職人養成講座では、このプロセスが徹底的に叩き込まれます。
 
 さらに何と言っても問題はどのようにビール酵母を入手するかです。イタリアでは、どこでも簡単に手に入るビール酵母が日本では簡単に手に入りません。ナポリのピザ職人は新鮮なビール酵母を使います。Lievito(ビール酵母菌)は、現地では、50g0.22ユーロ(30円)位のものです。
 ところが日本では新鮮なビール酵母が手に入らないため、冷凍のビール酵母を使います。ちなみに日本でこの冷凍のビール酵母を輸入・販売をしているのが、日本の「真のピッツァ協会」を運営するSUKURAGUMIの関係会社で、イタリア食材の輸入販売を行う山陽水産です。当然、輸入物の冷凍ビール酵母は大変高くつきますし、新鮮なものと同様と言う訳にはいきません。
 
 しかも、酵母には作るピッツァによって、生地の熟成のさせ方が異なるとの技術的な問題があります。日本のピッツァ職人は、冷凍のビール酵母を使わねばならず、イタリアのピッツァ・イオーロ(ピッツァ職人)よりも、厳しい条件が課せられているといえます。ですから、このような中で産み出した日本のピッツァ職人テクニックは、まさに秘伝中の秘伝となるのです。このようなことから、価格の問題もあって、日本のピッツァ職人の中には、ビール酵母を使いきれずに、イースト菌を使う職人もいるという訳です。
 
 日本で何気なく焼かれているように見えるピッツァ生地も、ピッツェリアごとの隠されたテクニックがあると言うことです。ですから、認定書など信じないで、実際の味でピッツァは判断してください。そもそもピッツァ職人養成講座出身者の店であっても、日本での技術研鑽を怠っていれば、本当においしいピッツァは出来ないと考えられるからです。
 
<山陽水産のDATA>
 住所:兵庫県赤穂市御崎2-1 さくらぐみ2F
 TEL:0791-45-2578
 URL:http://pizzajuolo.com/
 
ピッツァ・コンサルティングは→こちらから

 

Midoromaの報告/
ピッツァの原型、古代ローマのピンサを出すお店



 見た目、おなじみのピッツァによく似たピンサ。実は、古代ローマ起源の食べ物です。オリジナルの名前は圧迫するという意味のラテン語「pinsere」。元々はキビ、大麦、オート麦の粉でつくり、楕円形に伸ばしたものを熱した石版の上で焼いて、神々に捧げた食べ物だった。
 
 このピッツァの原型を2002年から現代によみがえらせたのはコッラード・ディ・マルコ氏。ローマにあるこのお店の名前はPINSA E BUOI DEI.... 訳して「ピンサとお牛の…」。この最後の「DEI/の」は「神々」という言葉と掛けている。ピンサ用の粉の販売もしている。現在のピンサは小麦、米、大豆の粉で作り、酵母を入れて70時間自然発酵させて作る。この自然発酵のおかげで重くない、消化しやすい「ピッツァ」が出来上がる。
 
 トッピングは通常のピッツァと同じ。この店独特のトッピングもある。下の写真は、給仕さんお薦めの3点。奥の白いピンサはトスカーナ産の豚の脂肪分だけのベーコン「ラルド・ディ・コロナータ」と南イタリア・トロペアの赤い玉ねぎのトッピング。左の赤いピンサはトマトと水牛のモッツァレッラ。右のピンサは豚の腸詰めとポルチーノきのこ。どれも美味しかった。
 給仕さんが普通のピッツァより小さいよ、というので、一人一枚の割で注文したら十分大きくて食べきれなかった。隣のテーブルでピッツァを頼んだ人がいて、その大きさを見て給仕さんの言葉に納得。直径30センチはある大きなピッツァだった!
 
<PINSA E BUOI DEI.... のDATA>
 住所:V.le Carlo Felice 51/53,Roma
 TEL:06-7720-1760
 URL:http://pizzajuolo.com/


 

次回予告


 次回はイタリアの食文化の一部となっている原産地名称保護制度D.O.P.の説明と、シルビオさんの王様レストランで出す時の定番パスタ、ジョゼッペ・コッコのパスタを紹介します。

 
協力者の紹介と1号から10号の刊行内容
http://www.ivc-net.co.jp/food/mailmaga/2016/publish.html
 
11号から30号の刊行予定
http://www.ivc-net.co.jp/food/mailmaga/2016/publish2.html

 

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