Cucina Italiana
クチーナ・イタリアーナ(イタリアの台所)
第83号
アグリジェントで昼ご飯
はじめに
アグリジェントは、“神殿の谷”と呼ばれるギリシャ神殿が立ち並ぶ考古学地帯として有名です。世界遺産として登録されています。紀元前にギリシャ人によって建てられた数々の神殿が立ち並びます。
シチリア旅行三日目。アグリジェント。
シラクーサからアグリジェントへの移動はドライバー付きの車を手配していた。知らない土地を短期間で回るには、足があったほうが効率よく回れるのは当然の話し。
Midoromaさんこと山根ミドリさんは→こちらから
協力者と刊行内容
→http://www.ivc-net.co.jp/cucina/index.html
シチリアのエレガントな女性ドライバー
ドライバーさんは珍しく女性で、アレッサンドラという名前の孫がいる年齢ながらとても腕の良い人だった。
なんと元英語の教師で4カ国語を話すことができる。シチリア在住のエレガントでシチリアを愛してやまない方だった。
アレッサンドラさんがよくお客さんに紹介するというBAR、菓子、レストランの
La Promenade dei Templi(神殿のプロムナード)という店で昼ごはんにした。
La Promenade dei Templi(神殿のプロムナード)
総勢五人でパスタを三皿、肉を二皿に決めた。イタリアでの普通の食べ方はコース式。つまり、炭水化物のパスタか米のプリモピアット(第一の皿)を食べ終わってから次のタンパク質のセコンドピアット(第二の皿)へ行く。
でもお客さんは日本人。日本では様々な皿が一つの食卓に並ぶのが普通です。しかも、遠い土地に来たからにはその土地のものを色々味見してみたいのも人情です。両方の習慣を知る案内人としてはお客さん側もレストラン側も気持ちよく過ごせるようにしたい。なので、はっきりとレストラン側に意志を伝えます。「変な食べ方だとは知っているけれど、皆、あれこれ味見をしたいので、全部一緒に持ってきてしまってください。」オーナー家族の奥様らしい給仕さんはすぐに理解してくれて頼む前に「取り皿を持ってきますね」と言ってくれた。
La Promenade dei Templiのパスタ
三種類ともにシチリア独特のパスタメニューにした。
ナスのパスタ
伝統的なやり方はスパゲッティだけど、ここではニョッキ(ポテトは使わない)と和えていた。
揚げたナスをトマトソースと合わせてシチリアの羊のチーズを削って上からかけて、新鮮なバシリコを添える。つまり、この店は伝統料理をちょっとアレンジする料理なのだ。
ブシアーテとイワシ
ブシアーテは電気機器のコードをまとめるときに使うコイル状に似た、くるくる巻のシチリア独特のパスタ。しかも、無精製の小麦をつかったもの。
イワシ、パキーノトマト、パン粉で和えたもの。この料理も「おかあさん」ならスパゲッティで、野生フィノッキオ(ウイキョウ)の葉を香味に使うところ。パスタの味を壊したくないと見た。
マグロのボッタルガ(卵の塩漬け)のスパゲッティ
メニューにはボッタルガとイカスミとあったのだけど、イカスミは終わってしまったとかで、ボッタルガだけになりました。十分美味しかったので良いけれど。
La Promenade dei Templiの肉料理
牛ヒレの森の果物ソース
果物と肉や魚を合わせるのは、実は古代ローマ時代の料理にあったんですね。
あるものを使う、というのはある意味当然。現代ではちょっと珍しい味になる。
これが実に美味しくて、肉を食べてしまった後、ソースを残すのはもったいないから「スカルペッタ(ソースをパンに染み込ませて食べる)」をオススメしました。
牛ヒレのピスタッキオ(ピスタチオ)ソース
エトナ山界隈でピスタッキオを生産してるそうで、シチリアのジェラート屋さんにあるピスタッキオ味はちゃんと、このソースのようにくすんだ緑色でした。ローマあたりのジェラートのピスタッキオで鮮やかな緑色をしてるものは、着色剤使用です。
だから、このソースもちゃんと本物のピスタッキオを使ってます。
個人的には森の果物ソースのほうが美味しく感じました。
次回予告
イタリアではコース料理を頼むと、パスタは、前菜の後の最初のメインコース、Primo piatto(最初の皿)として出されます。メインの料理の1つです。パスタは、今でも新しいものが発表されており、600種類以上のものがあると言われています。このパスタをいろいろな和え物にしたり、地域の食材を加えて料理にしますのでパスタ料理は何千種類もあることになります。次回はイタリア料理に欠かせないパスタの起源とロングパスタについて説明します。
協力者と刊行内容
→http://www.ivc-net.co.jp/cucina/index.html