Cucina Italiana

クチーナ・イタリアーナ(イタリアの台所)
第88号

ピッツァ修行してみませんか

はじめに ピッツァの高級店


 イタリアにはピッツァを出す店、ピッツェリアが45000軒あると言われています。いわば日本のラーメン屋さんのようなものです。とはいうものの高級店から街角の切り売りピッツァ店まで、違ったレベルのお店がひしめいています。もちろんピッツァ自身は、価格が安いことから庶民の食べ物ですが、ピッツァにも高級店があるというのは、さすが食文化の国、イタリアです。
 
 もちろん日本語で言う高級店なるカテゴリーは、イタリアにはありません。日本語に近いイメージで言うと、イタリア人にとって高級なお店とは、ちゃんとした格好をして食べに行くお店です。そこで出す料理は、厳選した食材を使い、料理人が手間をかけた料理なのです。店側がいくら当店は高級なお店ですと思っても、この条件を満たしていないと、お客は高級なお店と認めず、食べに行きません。
 
 一般的に高級なお店で出す料理は高いのですが、ピッツァの高級店のお値段は高くありません。飲物を入れて50ユーロ程度で済みます。賃金の低いイタリアでは1食50ユーロは家計支出としては大きいのですが、イタリア人は外食するときは、庶民でもこのぐらいのお金を使います。ようは家庭料理(マンマの料理)が一番と考えるイタリア人にとって、外食は誕生日といったようなハレの日のイベントなのです(ただしこのようなイベントが年に何回もあるのがイタリアの面白いところですが)。
 
   ピッツァ・コンサルティングは→こちらから
 
協力者と刊行内容
http://www.ivc-net.co.jp/cucina/index.html

 もちろんピッツェリアの高級店に来店するお客様は、ラフな格好はしません。同じ値段のトラットリアの場合(トラットリアはイタリア人の意識では高級なお店ではありません)、イタリア人はラフな格好もすることがあります。もちろんラフでない格好と言っても、日本のようにスーツでネクタイといったものではありません。3つ星の一部の超高級店を除けば、その場の雰囲気を壊すものでなければ(つまり格好がよければ)、極端な話、Tシャツでも格好よければOKとなります。さすがファッションの国イタリアです。ただし日本人は試さない方が良いと思います。この場合の格好が良いというのは、周りのイタリア人が格好良いと認めてくれることを意味します。ファッションセンスでは、日本人は逆立ちしてもイタリア人にはかないません。この辺りの感覚の話をすると、本当に日本とイタリアの文化の違いを感じてしまいます。
 
 大げさに言うと、イタリアには庶民向けのピッツァに高級店があると言うことです。言ってみれば、日本には無い背広を着ていかねばならないラーメンの高級店があるようなものです。ところがヨーロッパの食文化では、格好を気にする高級なピッツェリアがあるのです。ミシェランの星は、創作的な料理を出す高級なお店に与えられるものです。ラーメン店で星付きのお店はありませんが、ピッツェリアには星付きのお店があります。評価基準は美味しさだけではないのです。

 

ナポリのトップピッツァ・イオーロ(ピッツァ職人)が教えるピッツァスクール


 前記のような違いがあることから、「ピッツェリアの高級店」の一言の意味を長々と説明しなければならないということです。ここでようやく本題に入ることができます。ナポリにNotiziaというピッツェリアの高級店があります。この店のピッツァ・イオーロ(ピッツァ職人)エンツォ・コッチャさんは、ナポリピッツァのすばらしさを広めるために、20日間の短期間でピッツァ職人としての基本と技術を教えるピッツァ・コンサルティングを開講しています。
 
 Notiziaは→こちらから
 
 ピッツァもイタリア料理の一つです。そのためイタリア料理と基本が同じです。イタリア料理の基本は、食材の持つ本来の味を引き出すことです。そのためにトマトソース、チーズ、オリーブオイル、そしてパスタ(小麦粉)を使います。俗にイタリア料理なるものはないと言いますが、それはイタリアにはトスカーナ料理、ローマ料理、シチリア料理といったように地方ごとに独特の料理が発達していることを指します。その共通性を考えると素材重視とトマトソース等の補助食材が考え方の基本にあるのです。
 
 そのためピッツァ・コンサルティングでは、1週間目はピッツァを焼くのに使う薪釜の講義だけでなく、食材の基本となるトマトソース、チーズ、オリーブオイル、小麦粉の講義があります。もちろん高級店の開催するスクールですから、食材へのこだわりは半端ではありません。そしてピッツァ作りの基本を学んだあと、手コネでのピッツァ作りを教え込まれます。この基本は体で覚えること。一切の手抜きは許されません。時には叱責されます。20日間で修得するのですから、厳しく鍛え上げられます。そしてナポリピッツァの基本となるピッツァマルゲリータを試作します。試作したピッツァマルゲリータは講師達が試食します。講師達がピッツァ・イオーロ(ピッツァ職人)としての力量を認めた受講生には、ピッツァ・コンサルティングより修了証書が授与されます(全員とは限りません)。
 
 ここでピッツァ・イオーロ(ピッツァ職人)のスタートラインにつくことができます。もちろん不断の研鑽が求められます。ピッツァ・コンサルティングでは研修修了者へのフォローアップとしてマスターコースを開催しています。実際に横浜市にあるピッツェリアでは、定期的にピッツァ職人をフォローアップのため送り込んでいます。
 
 ピッツァ・コンサルティングは→こちらから

 

 先日、ピッツェリア開店を目指す和歌山の料理人の方から、自分はカツオ出汁等の和風の食材を使ってしまうがイタリアンとして間違っているのかとの質問をいただきました。そもそもイタリア料理は地域ごとにある地元の食材の味を最大限に引き出そうとするものであるから、使ってならない食材は無い。ただトマトソース、チーズ、オリーブオイル、小麦粉を使わないと、イタリア料理の基本から離れる可能性がある、と弊社の考えをお伝えしました。このことを良くご参考にしていただけると幸いです。
 
 さて弊社で残念に思っていることがあります。参加者の中にはアマチュアの方もいますが、日本からこの研修を受けようとする方はプロないし修行中の方です。日本からの参加者の方は、自分のお店で使おうとしている日本の食材をピッツァのトッピングにすることについて質問しません。そしてその食材によって焼き方が変化するかどうかも質問しません。日本には検疫の高いハードルがあります。このため仮にイタリアのピッツァを完全にコピーしようとしても、食材が問題となって、コピーはできないのです。ですから日本でお店を開くためには、日本の食材も使わねばなりません。もちろんイタリア料理の基本は地元の食材の味を引き出すことにありますから、日本の食材を使うことは問題ありません。ただ皆さん日本の食材を使うことについて、関心が低いように思えならないのです。
 
 イタリア料理を目指す方は、是非一度ピッツァ・コンサルティングの研修を受けてみてください。それだけでなく地元の料理を食べ回わり、食材店を眺めて、疑問に思ったことは講師達に質問してみてください。研修の中では、希望者を対象とした小麦粉工場訪問やピッツァ釜工場訪問プログラムも組まれています。もちろん1ヶ月近く現地に滞在するのですから、それ相応の費用もかかります。それでも学ぼうとする姿勢さえあれば、それ以上のものが得られますし、講師たちも応えてくれます。
 
 ピッツァ・コンサルティングを主宰するエンツォさんのピッツェリアは、ピッツァの分野で初めてミシェランの星を獲得した有名店です。
 ちなみに講義と実習が行われるのは、伝統ピッツァのLa Notizia 53です。一方ミシェランの星を獲得したのは創作ピッツァのLa Notizia 94です。
 
 ピッツァ・コンサルティングは→こちらから

 

次回予告


 先日、ミラノのご視察をされる方をいくつかのスーパーマーケットにご案内しました。この内容は結構インパクトがあり驚きの連続でした。さすがイタリアは食の先進国だと感じた次第です。次回は「発展するミラノのスーパーマーケット」をご紹介します。
 
協力者と刊行内容
http://www.ivc-net.co.jp/cucina/index.html

 

発行


ITALIAN VIDEO COLLECTION NET
 
株式会社イタリアンビデオコレクション
情報の投稿・ご意見・お問合せは
info@ivc-net.co.jp
イタリアでのビジネスや旅行は
http://www.ivc-net.co.jp/