Cucina Italiana

クチーナ・イタリアーナ(イタリアの台所)
第92号

イタリアのバール

はじめに


 イタリアのどの街にもチェントロ(中心地)には広場があります。そこは市民がサロンや散歩する場所として使いこなす場所です。広場には市民の憩いの場であるバールがあり、人々の暮らしに欠かせない存在になっています。
 
 アーチストやデザイナーのたまり場的なバールやサッカーのサポーターのバール、政治色の強いバールもあります。田舎に行けばトランプをしている老人の溜まり場のバールや、奇跡を起こすと評判の聖人の絵を飾っているカソリック信者のバールまであります。イタリアの人々は自分の好みに合わせてバール選び、楽しんでいるのです。
 
 第92回はイタリアのバールの意味合いを紹介します。
 
 イタリアのバールは→こちらから
 
ウェブ版イタリアの台所
http://www.ivc-net.co.jp/cucina/index.html

 

バールの歴史



カフェ・グレコ

 イタリアにトルコを経由してコーヒーが伝わったのは16世紀になってからと言われています。そして初期のカフェが生まれたのは18世紀になります。初期からつづくカフェとして、ヴェネチアのカフェ・フローリアンやローマのカフェ・グレコが今でも残っており、その雰囲気を現代に伝えています。ただこのカフェは、一部の上流階級のためのサロン的な性格をもっており、現在のバールにある立ち飲みのシステムもありませんでした。
 
 バールが生まれたのは19世紀末のフィレンツェです。食料品店のオヤジさんが店の一角にお客が立ったままコーヒーを飲めるようにして、ビスケットやパンなどの軽いものを食べられるようにしたのがバールの原型と言われています。上流階級のためのカフェと異なり庶民がコーヒーを飲むことができるということで大当たりして広まったと言われています。
 
 カフェ・フローリアンは→こちらから


カフェ・フローリアン

 

朝のバールの役割


 一般にイタリアの家での朝食はとても軽いです。コーヒーかカフェラテなどの飲み物にビスケットや乾パンにジャム、パネットーネなどの軽いものを食べます。朝 はお腹が空かないとコーヒーだけの人もかなりの割合でいます。
 
 10時ごろお腹が空いてきますので、バールで2度目の朝食を摂るのです。バールでの朝食の定番は「カプッチーノとコルネット」です。このことをイタリアでは第二の朝食と呼びます。イタリアにはなんと学校を含めて社会公認の朝の朝食(バール)タイムが存在しています。

 

お昼のバールの役割


 イタリアには日本のように手頃な価格で食事を提供する大衆食堂がありません。手頃な昼食をとるためバールを利用する人々が増えています。ランチ需要に対応してバールでは、昼食時間になるとパニーノにハムやチーズを挟んだものを出したり、最近ではパスタや食事を出す店さえあります。イタリアのお昼休みが開始される午後1時以降は、バールは昼食をとるお客さんでごった返します。午後2時半過ぎからはレストランでの昼食が終わって,カフェで胃袋の調子を整えるために立ち飲みでコーヒーを1杯といったお客さんが増えてきます。食後のコーヒーはバールという人も多いのです。
 
 昼間のデイタイムも仕事を抜け出し近くのバールに出かけたりします。仕事中にバールに出かけるのは、社会的に許されているのです。要は気分転換で、日本の「お茶しよう」と言った感覚に近いものがあります。

 

夕方のバールの役割


 仕事が終わって夕方になると、食前酒やスプマンテを一杯引っ掛けにやってくる人が増えてきます。夜の8時になるとばったりと人影が無くなります。家に帰って家族と食事するためです。つまり仕事が終わって夕食を採るまでの7時から8時が街角のゴールデンタイムなのです。
 
 カフェやバールでは政治談義、スポーツ、日常生活情報が行き交い、話しをすること自体が楽しみとなっています。行き交う仲間達とわいわい過ごす楽しいひと ときです。当然ファッションには気を使う社交場です。安い立ち飲みカフェを楽しみ,店を渡り歩くのもイタリア人の醍醐味の一つ。また散歩道にはジェラート 屋があり、そこでジェラートを楽しみ、バールでカフェを飲んで口直し。街中にジェラート屋が数多くある理由もここにあります。

 

次回予告


 イタリアのピエモンテ州にあるバローロ、バルバレスコは、イタリア土着種のネッビオーロ種ブドウを使った最高級の赤ワインの産地として有名です。DOCG、DOCに分類された最上級ワインの数はイタリア最大で、トスカーナ州とともにイタリアワインの2大生産地となっています。次回はピエモンテ州のバローロ、バルバレスコのワイナリーについてご紹介します。
 
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