Cucina Italiana

クチーナ・イタリアーナ(イタリアの台所)
第98号

世界遺産になったナポリピッツァ

はじめに


 ナポリの名人ピッツァ職人(マスターピッツァイオーロ)のエンツォ・コッチャさんは、今得意満面だと思います。なにしろコッチャさんがこの伝統技術を継承するために長年運営してきたピッツァ職人養成講座自体が、国連ユネスコの世界無形文化遺産の指定対象の一部になったからです。
 
 その誇らしげな姿は、次の報道でも見ることができます。
 世界遺産指定に喜ぶピッツァイオーロ→こちらから
 
 ピッツァ職人養成講座は→こちらから
 
 イタリアの台所ウェブ版
http://www.ivc-net.co.jp/cucina/index.html

 

世界無形文化遺産とは



名人ピッツァ職人(マスターピッツァイオーロ)のエンツォ・コッチャさん

 世界遺産は建築物など有形文化財を対象としているのに対して、無形文化遺産(Intangible Cultural Heritage)は、民族文化財、 フォークロア、口承伝統などの無形文化財を保護対象としたもの。国際連合ユネスコが保護活動を行っています。
 
 食文化に関してはこれまでフランスの美食術、地中海料理、和食など6種が登録されていました。ピッツァは食文化で7つ目の指定となります。

 

2017年12月3日に世界無形文化遺産となる


 2013年に「自然の尊重という日本人の精神を体現した食に関する社会的慣習」として日本の食文化である和食が国連ユネスコの世界無形文化遺産に登録されたのに引続き、2017年12月3日に食文化としては6番目となる指定を受けたのがナポリの「ピッツァイオーロの技巧(The art of the Neapolitan‘Pizzaiuolo’)」です。
 
 ナポリの街全体で育て、今なおおいしいピッツァを食べるために発展しつづけているピッツァ作り技術は、ピッツァイオーロと呼ばれるピッツァ職人によって維持・継承されています。ピッツァ職人養成講座も伝統継承の大きな一翼を担っており、コッチャさんの喜ぶ気持ちが伝わってきます。

 

世界無形文化遺産となる背景


 ナポリのピッツァイオーロ(ピッツァ職人)の技巧は、ピッツァ生地を準備して、へらで回転させながら薪釜で焼き上げるための4つの異なる料理の工程からなります。この技術は、カンパニア地方の首都ナポリから産み出されたもので、ナポリでは今でも約3000人のピッツァ職人がいると推定されています。
 
 ナポリ・ピッツァイオーロ協会は、毎年この伝統を継承するために、ピッツァの歴史、ピッツァ作りの器具、テクニックに重点を置いた研修を実施しています。またナポリでは、ピッツァ作りの技術ノウハウがいくつかのアカデミーによって技術認定されており、研修者はピッツァ作りの技巧をピッツァ作りの現場で学ぶことができます。
 
 このアカデミーの一つが名人ピッツァ職人のエンツォ・コッチャさんの運営するピッツァコンサルティングです。ここではイタリアだけでなく、日本を含めた世界各国からピッツァ職人志願者が集まって来ており、ピッツァ職人の技巧を世界的なものにしています。
 
 しかし、この文化の基本は、ピッツァ職人の伝統的な徒弟制度の中にあります。ピッツァ作りの知識と技能は、職人の店で伝えられます。若い見習いは、長年にわたり職場のマスターを観察する中で、ピッツァ作りの主要なポイントとコツをつかんでいきます。そのためピッツァイオーロ協会の研修やアカデミーの技術伝承参加者は、短期間で基礎を覚えるだけですので、終了後もたゆまぬ研鑽が求められることになります。
 
ピッツァ職人養成講座は→こちらから

 

ナポリ・ピッツァを学んで楽しむ一日コース


 ナポリの名人ピッツァ職人(マスターピッツァイオーロ)のエンツォ・コッチャさんのお店ピッツェリアLa Notiziaでは、ナポリ・ピッツァを食べるだけでなく、実際のピッツァ作りや熟練したピッツァ職人に直接触れていただき、代表的なピッツァを試食いただくとともに、ピッツァ作りにもチャレンジしていただく「ピッツァ・クラッシカ・ナポレターナの一日エノガストロノミーコース」を開設しました。コースの内容は次からなります。 ・ 典型的ナポリピッツァに関する歴史と文化の概要レッスン ・ ピッツァづくりに関する理論と実践による説明 ・ ピッツァ熟練職人による素手での生地作りのパフォーマンス ・ コース参加者による素手での生地作りの実践(二人一組) ・ 三種のピッツァ、ロールピッツァ、デザート用サルティンボッカの試食
 
詳しくは→こちらから

 

次回予告


 大晦日の翌日は元旦。でも新年を新たに迎える日本と異なり、のんびりしたイタリアの元旦風景があります。次回はMidoromaさん一家ののんびりしたイタリアの新年の風景を紹介します。
 
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