ローマから吹く風




La tenda rossaの教会

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 ローマ南端の郊外にある聖地で、聖母の奇跡で有名な所。Divina d'Amoreは聖なる愛とでも訳したらいいかな。
 
 聖母のイコンがあって巣鴨のとげ抜き地蔵みたいな感じで「病気を治してください」式のお願いをしにローマだけではなくイタリア中からカソリック信者がやってきます。巡礼の地にもなっています。
 
 言ってみれば現世ご利益の庶民のお寺。奇跡のおかげで治った人が収めた奉納品が展示してあります。18世紀の終わりに最初の奇跡が起こった塔の隣に建てられた教会が建っています。
 




 
 舅の後妻の一周忌で、ミサにやってきました。
 
 仏教のような一周忌法要ではなく、一般ミサだけど、申し込んでおくと始めと終わりに故人の名前を呼んでもらえて、その故人にミサを捧げますと言ってもらえます。
 
 熱心なカトリック教徒はお寺と檀家のように、住居のそばのおなじみの教会を持ってる。舅の後妻もお馴染みの教会をもっていたけど、ここは季節の良い日に散歩も兼ねてよくやってきた。


 奇跡を受けて治った人が納めた松葉杖。奇跡のおかげで治った人が収めた奉納品です。
 




 
 この奉納品の中で特に目立つのが、1928年に北極へ探検したウンベルト・ノビレ一行の飛行機が氷の中に墜落した際に使った無線のヘッドフォン。
 
 無線も故障してSOS発信もできなかったのに、18日後、この聖母に祈願したところ、無線が通じて救助を呼ぶことができたということで奉納されています。
 
 この事故は、救援を待つノビレ一行が赤いテントを張って空からの救援を待ったことから、1969年には「La tenda rossa(赤いテント)」ということで映画にもなり、20世紀はじめの大遭難事件として人々に記憶されています。



 
 イタリア中から巡礼に来るので、今日参加したミサをおこなった古い教会では手狭になってしまって、大きなモダンな教会もできています。
 
 大きなモダンな教会の前には、前法王に捧げた石碑があり、まるで番をしているような老犬がずっとそばにいて動きませんでした。



 
 周りは気持ちのよい野原。巡礼のついでにピクニック。巡礼はともかくピクニック。
 
 祈って奇跡をもたらされなかった場合は何も奉納しないわけだから、ここの奉納品を見ると100%奇跡が起こるような感じを受けます。
 
 「奇跡」は偶然の産物なのか、気休めなのか、何かあるのか… それを解明するのではなく、なにか大きなものに心の拠り所を置くことができるのは、悪くないと思います。