ローマから吹く風




バーカロでチケッティ

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 ベネツィアのように観光で生きている街では、観光客向けの食べ物屋さんがたくさんあって、どこで何を食べるかというのが簡単なようで難しい。ともかく「イタリア料理」を食べればいいというならともかく、美味しくしかも、ベネツィアならではのものを食べたいとなると、店の選択が大事です。
 
 今回の旅で幸いだったのが、サンタ・ルチア駅からサンマルコ広場へ行くために乗ったヴァポレット(水上バス)である女性と出会ったこと。大のオペラファンで、ローマの郊外からしょっちゅうベネツィアのフェリーチェ劇場に観劇に来るそうで「夜は当然チッケッティを食べて早めに寝ちゃうのよ」と言ったのでした。
「チッケッティ?」
 
 ここで彼女は降りてしまったので、謎と残ったチッケッティ。ホテルについてから早速検索してみると、BACARO で食べるおつまみのこと。店先にあるカウンターに並ぶおつまみ・惣菜のことでした。そしてBACARO、バーカロとはベネツィアの居酒屋のこと。



 

 ホテルの人にホテルの近所のレストランとかトラットリアをバーカロみたいに使うことはできるかどうか聞いてみたら、やっぱりちゃんとBACAROに行ったほうが良いとのこと。ホテルはサン・マルコ広場近くだったのだけど、リアルト橋の付近に多いよ、と教えてもらって行ってみることにしました。
 
 そして、リアルト橋に着くずっと手前にそれらしい店があったので「チッケッティある?」と聞いてあるとのことなのでさっさとそこに入ることにしたのでした。なにしろひどい方向音痴の上にベネツィアって小路が入り込んでいてすごくわかりにくいので、あまりホテルから離れたくなかったのでした。



 

 そのバーカロとはここ Osteria ae Forcoe
 
 「オステリア・アエ・フォルコエ」。オステリアじゃありませんか。昼間は普通に食事ができるんですね、きっと。
 

チッケッティのミックス
 
 「どれがいい?」と言われたので「適当に全部少しづつ」と頼んでこれが出てきました。
 
 丸い揚げ物がツナの肉団子。白っぽい揚げ物がバッカラという干したらの揚げ物。上のほうがパンに干したらの色々な煮方をしたものを乗せたもの。
 
 さ、春の食事会も一段落するので、これからダイエット!!!
Moscardini in umido
 
 モスカルディーニ・イン・ウミド=タコの煮つけです。
 
 吸盤が一列に並んだタコさんをトマトと同量のオリーブオイルで煮込んだもの。
 
 それにベネツィアではパン代わりに食べるとうもろこしで作ったポレンタが添えられています。黄色の卵焼きみたいのが、ポレンタ。トウモロコシの品種により、黄色いポレンタと白いポレンタがあります。黄色いもののなかでも色の濃いもの、挽きの目の細かいもの、荒いもの、そして、白いものもあります。全般的には黄色いものが主流とされ、各地で生産されるトウモロコシにより、よく食べ比べると風味の違いがあったりします。以下の写真の黄色の卵焼きみたいのもポレンタ。

Baccla' mantecato (バッカラ・マンテカート)(下写真左)
 今回初めて食べた干しタラ料理で、超お気に入りになりました。塩漬けの干しタラをよく塩出しして、オリーブオイルと牛乳で煮込んだもの。
 
Sarde in saor(サルデ・イン・サオール_イワシの酢の物)(下写真右)
 マイワシを小麦粉をつけて揚げ、酢とオリーブオイルと塩でよく煮た玉ねぎを乗せたもの。少なくも24時間は置いといて食べるのが美味しいそうです。元々は船乗りの保存食ですって。

 




 

Ombra(オンブラ_「影」というあだ名で呼ばれるグラスワイン)
 色々なベネツィア料理をちょっとづつ食べられるので日本人にぴったりのバーカロです。ちびちび「オンブラ」をノドに流しこみつつ、幸せな時を過ごしました。