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ヴィッラ・アドリアーナ
(こんなローマを見てみたい)


 ローマ近郊のチボリにあるヴィッラ・アドリアーナへ行ってきました。
 ハドリアヌス帝〔在位、117-38〕が池に身を投げた美少年を偲んで建てた別荘と言われていますが、政敵を抹殺する皇帝は、美少年にはナイーブだったようです。



 別荘と言いながら規模が違います。一個の町です。もはや。兵舎があり、公衆浴場があり、劇場があり、いくつか宮殿があり、敷地全部を城壁で囲っています。



 写真は浴場のひとつ。
パンテオンのように丸屋根の頂上に穴をあけて光を取り入れています。この方法が、後のステンドグラスより明るいんですよね。はだけた壁が二重になっているのが見えますが、蒸気を通したところではないかと思われます。
 ローマ皇帝のこうした住居跡を眺めますと、いかに、人として享受できる限りの快楽を求めたか…とその飽くなき要求の大きさと、想像力と、それを実現してしまう力の大きさにあきれかえります。


 「人としての快楽」は食べることや性だけでなく、五感全部に及びます。 何度か行ったこのVILLAですが、今回初めてみつけたのが、「SALA TRE ESEDRAE」三つのエクセドラの間です。半円形の休憩所が三つ、小さな中庭を囲んでます。その正面には大きな窓があって、借景。
 もう一つの建物は散策途中の休憩所とでも言ったらいいでしょうか。 やはり半円形に仕切った壁の内側に水を通して噴水を配し、その上方に窓を開けて空を臨む。噴水の脇の壁には窓を開けて借景。

 水のせせらぎを聞き、窓枠で切り取った庭と空を眺めながら、談笑し、ワインを楽しんでいたわけです。
 ただ整備した庭を散策する、疲れたら休むためベンチを配する…のではなく、わざと視界を遮る建物を造って、中に水をとおし、窓を開けて、内と外を融合させてしまう、それを作り出す想像力と、それを楽しむ優雅さに感心します。
 生き延びるためだけに生活していては得られない、引き出せない人間の能力です。 貴族や皇帝という一握りの人間しか享受できなかった…と言う不公平があるにせよ、人間のこうした能力を最大限に引き出せた時期を人類が持った…というのは見逃せません。 アテンドをして少しづつ学習するたびに古代ローマに魅力を感じます。




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