メールマガジン"ローマから吹く風"第22号:ビ・スポークの街フィレンツェ/世界一のステーキ・フィオレンティーナ
- 目 次
- 1.はじめに ビ・スポークの街フィレンツェ
- 2.ビスポークテーラーのリベラーノ&リベラーノ
- 3.セレブ御用達の靴屋ステファノの店
- 4.旅の情報 世界一のステーキ・フィオレンティーナ
- 5.あとがき
1.はじめに ビ・スポークの街フィレンツェ
しかしファッション関係だけでなく、フィレンツェには伝統の技術を引継いだ各種の職人たちがいます。銀製品、金細工、靴、バック、スーツ、陶器、革製品、宝飾品、アクセサリーと言ったものでも、フィレンツェは世界的に知られています。顧客がテーラーに「話しを聞かれながら = be spoke」服を仕立てていくことをビ・スポークと言います。このことを語源として、職人が個別の客の要望を聞きながら、オーダーメイドの製品を作ることも、ビ・スポークと呼んでいます。つまりフィレンツェは、その人に応じた最高のものを作るビ・スポークの職人の街として、世界中に知られているのです。
2.ビスポークテーラーのリベラーノ&リベラーノ
リベラーノ&リベラーノでは、スーツについては中世時代からつくられ続けてきたイタリア伝統産業が作り上げてきたカセンティーノ・ウールを使用しています。髪の毛と同様にスケール(うろこ)がある羊の毛が緻密に絡まっているため空気を含み外気をシャットアウトし、体の熱で暖められた空気を外に逃がしません。生地の裁断は、いまでもアントニオ・リベラーノ氏が担当するといったことは、ビスポークテーラーの面目躍如と言えます。リベラーノ&リベラーノの半月型のカーブを愛して、1着数十万円するにもかからわず、顧客がひきもきらないことが、その製品が高品質であることの証しとも言えます。
現在、リベラーノ&リベラーノは日本でも、日本橋三越でもオーダーできるようになっていますが、リベラーノさんとビスポークするために訪れる日本の顧客も多いと聞きます。このような方達のために、リベラーノ&リベラーノでは、日本人のマネージャーが配置されており、日本の顧客へのサービスを行っています。
Liverano & Liverano
住所:Via dei Fossi 43R
電話:055 2676436
3.セレブ御用達の靴屋ステファノの店
デザインもさることながら、靴の命は、軽さとフィット感。ステファノの靴は、各部材に極上のパーツを惜しげなく使い、見えないところまで丁寧に作り込んでおり、それこそ靴を履いていないような感覚で履くことができます。
私がたまたま寄ったときは、ステファノの工房では「ラスト・オブ・モヒカン」や「ギャング・オブ・ニューヨーク」などで知 られているアカデミー主演男優のダニエル・デイルイスの靴を作っていました。(ちなみに、このダニエル・デイルイスは一時期、俳優業を休業して靴屋になる ためにイタリアで修行していたくらいなので、かなりの靴こだわり屋で有名ですが、彼はいつもステファノの靴をオーダーしています。)
残念ながらステファノは数年前に亡くなっており、ステファノの靴は、弟子たちに引継がれております。現在はビスポーク方式だけでなく、オーダー方式のプレタポルテで手軽に注文できるようにもなっています。採寸は1回で終わり、仮縫い後もまた通う必要なく、靴を日本まで発送してくれます。レディースもメンズも取り扱っています。
Stefano Bermer
住所:Borgo San Frediano 69 - 50124 Firenze
電話:05055660483
4.旅の情報 世界一のステーキ・フィオレンティーナ
ビステッカ・フィオレンティーナは、フィレンツェ子が世界一と自慢するほどの名物です。確かにビステッカ・フィオレンティーナをメニューに載せる店は多いのですが、専門店でなければ本当に美味しいフィオレンティーナの肉は食べられません。このステーキで使われているのがキアーナ牛という独特のトスカーナ産の牛肉です。キアーナ牛は有名ですが、今では生産量も減っているようです。一つには値段が高いことが理由とされています。このようなことから、キアーナ牛の肉を使った本物のステーキは実はあまりお目にかかれないと言われてます。
でもそんなことは決してありません。食いしん坊のフィレンツェ子の食欲を満たすため、フィレンツェにはキアーナ牛を提供するレストランがちゃんと存在しているのです。Osteria Osti(オステリア・オスティ)もそのようなお店のひとつです。メニューには、キアーナ牛のビステッカの他にも神戸牛風の牛のビステッカ・フィオレンティーナもあり、牛の写真入りのパンフレットも用意されていて、ビステッカには力を入れている店と言えます。
牧場で手塩をかけて生育させたキアーナ牛を食肉工場で丁寧に処理してレストランに持ち込みます。レストランでは最も美味しい状態になるまで冷蔵庫で熟成させます。そして、お客様から注文が入った時点で、Tボーン付きの肉を勢いよく、分厚く叩き切ります。切ったばかりのキアーナ牛、合計3キロの肉を焼く前に、私達のテーブル席まで生肉を運んできて見せてくれました。
パスタ、野菜サラダ、そして1.5キロのキアーナ牛のTボーンステーキをミディアムレアとレアで焼き加減を変えて2つ注文して分けあって食べました。写真から、指三本分の高さは十分にある、分厚く、ジューシーで柔らかく焼き上げたビステッカ・アッラ・フィオレンティーナの美味しさが伝わってきます。ビステッカは冷めないように、熱々の鉄板の上に乗せて運ばれてきました。赤ワインとの相性も抜群です。キアーナ牛の赤身肉は、ジューシーで、肉も柔らかく、本場フィレンツェのキアーナ牛のビステッカにお客様もたいへん満足していただけたようです。皆で分け合って、合計3キロのビステッカを完食しました。食べ終わった後の鉄板には、正にTボーンステーキの名の通り、Tの字型の骨が残っています。皆様もフィレンツェを訪れた際には、是非世界一のステーキ・フィオレンティーナをお試しになってください。
5.あとがき
次回はローマで見つけたピッツァのお店とトランプさんで話題のポピュリストの元祖カエサルのお話をします。
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