ローマから吹く風第57号
イタリアのお正月/ベファーナの日

 
目 次
1.はじめに
2.イタリアのお正月
3.ベファーナの日
4.旅の情報:ナポリの花火にはご注意
5.あとがき

1.はじめに

 イタリアでは「クリスマスは家族と大晦日は友達と」と格言になっているほど、大晦日は友達とわいわい騒ぐのが定番です。かつて日本ではクリスマスはアホな金銀の紙製の帽子をかぶったり、仮面をつけてバカ騒ぎをする日でした。イタリアでは、そのアホな金銀紙製の帽子をかぶって、馬鹿騒ぎをするのが大晦日です。そして寝ぼけマナコで新年の食事をいただき、翌日からは普通に働きに出ます。

2.イタリアのお正月

 大晦日は聖シルベストロの日。一年中誰か聖人の日で、大晦日は第33代の教皇シルベストロさんにお鉢が回ってくる。イタリアでは、大晦日を『年最後の日』とそのまま言ったり『サン・シルベストロ』と言ったりする。この日は、昼食は軽くして夜に備えます。今では紙の帽子をかぶったり、古い家具を窓から捨てたりする習慣は失われたけれど、大勢で集まって零時を待って乾杯し、花火をする習慣はつづいています。
 
 大晦日はイタリアでも大晦日で、こちらは食べながら賑やかに過ごします。古い友人一家が子羊一頭分の肉を持ってやってきました。 我が家の薪のオーブンで焼いて食べようというわけです。
<準備作業>
 イタリアではみんながご馳走作りの作業を分担します。子羊はローマのお祝いごとに欠かせない。子羊の解体は、男の仕事。頭と四肢を分け、ローズマリーノ、ニンニク、塩、オリーブオイルで味付けをしてオーブンに入れる。使ったのは4キロの子羊。食べるにはちょっと小さいけど、こちらの方が美味しいと思います。
 
<子羊のオーブン焼き>
 オーブンから出てきたホクホクの子羊のオーブン焼き。程よい塩加減、胡椒加減、ローズマリーノとにんにく加減で、皮がパリパリで美味しくできました。 あ、その前にもちろんパスタ。豚の挽肉の腸詰めとキノコをトマトソースで和えたマカロニをオーブンでさらに焼く。香ばしさが増してこれもおいしい。
 
<新年のお菓子>
 このお母さんは、イタリア半島反対側のアドリア海側のマルケ州出身。しかもワインつくりの農家出身とのこと。このお菓子はワインを搾った後の葡萄かすを使う独特のお菓子。このお菓子がないと年越しの感じがしないとのことです。
 
<スプマンテで乾杯>
 食べるだけ食べ、飲むだけのみ、おしゃべりに興じる中、新年のカウントダウンが始まります。午前零時になると、恒例の花火が打ち上げられて、炭酸入りのワイン・スプマンテ(フランスではシャンパン)が一斉に開けられます。
新年おめでとう!!!
 
<シメのレンズ豆>
 零時にはスプマンテで乾杯し、花火をし、シメにレンズ豆をたべねばならない。みなお腹が一杯だから、「食べたい?」と聞くとだれも食べないので、聞かずに配ります。
 イタリアの言い伝えによると、「レンズ豆を新年に食べるとお金がやってくる」そうです。伝統を信じるならば、来る年はお金に困らないはず。(毎年食べ方が足らないのかな)
 
 詳しくは→https://www.ivc-net.co.jp/cult/wind/2019/326.html

3.ベファーナの日

 1月6日、キリスト教では東方三博士がキリストを謁見に来た日(エピファニア)。他のキリスト教の祭日同様、『邪教』のお祭りでもあったらしく伝統的にベファーナと言うお祭りでもある。老婆の魔法使いが箒に乗って、暖炉に吊るした靴下に、良い子にはお菓子を悪い子には炭を入れていく。サンタクロース伝説とかなり似通っています。
 
 イタリアではこの日のために、長靴型ではなく靴下型の袋にお菓子を入れたものがたくさんスーパーで売られています。クリスマスと共に、本来は季節のお祭りで、縁起物も屋台で売り出されています。屋台にある箒の飾り物は、悪いことを掃き出す意味のお守りです。日本の熊手と逆の考え方です。プレゼントをくれる魔女のベファーナおばあちゃんの人形もあります。
 我がローマでは、義兄の誕生日でもあって、義兄宅で過ごすことが多いです。今回も昼食に呼ばれて行きました。義兄の三子のうち、今回登場したのは長男とその家族。一人娘のベアトリーチェは義姉のベファーナ(魔女役)から靴下をもらい、大きな子供であるウチの息子には現金を用意してくれていました。
 
 詳しくは→https://www.ivc-net.co.jp/cult/kaze/283.html

4.旅の情報:ナポリの花火にはご注意

 イタリアでは年明け5秒前あたりからみんなで大声でカウントダウンをして、家の主人がみんなの『ゼロ!!』の大声に合わせてスプマンテの栓を抜くのがお決まりです。乾杯して、花火、というのが通常コースです。
 
 ナポリでも同様で、王宮前広場やプレビシート広場での花火が有名です。もちろん規模が多いとの意味もあるのですが、実は毎年けが人が何人出たという新聞報道があるので有名です。このけが人は、爆発事故やふざけて花火を打ち込まれて怪我する人の数です。ですので観光でナポリのお正月を過ごそうと考えている方は、レストランでの年明けイベントに参加されることをお勧めします。ちなみに、通常、ホテルのレストラン以外のイタリアのレストランは、年越しの特別メニューとなっています。

5.あとがき

 イタリアも日本と同じ火山国で、温泉があちこちにあります。古代ローマ時代には公衆浴場は、テルマエ (thermae) と呼ばれており、多くの都市に少なくとも1つの公衆浴場が存在していてそこは社会生活の中心の1つになっていました。このローマ人の伝統を受け継ぎ、かなり昔からイタリアの貴族などは温泉を楽しんでいたようです。次回はトスカーナのセレブな温泉です。
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