Cucina Italiana

クチーナ・イタリアーナ(イタリアの台所)
第74号

イタリアの食品基準・D.O.P.

はじめに


 原産地名称保護制度(P.D.O.:Protected designation of origin)とは、EU法が規定する、食料品の原産地名認定・保護のための制度です。伝統や地域に根ざした特有の食品などの品質認証のために1992年に制定されたものです。対象となる食品としては、ワイン、チーズ、ハム、ソーセージ、オリーブ、ビール、パン、果物、野菜などとなっています。イタリアのD.O.P.(Denominazione di Origine Protetta)はこのEU法に準拠したイタリア国内の原産地名称保護制度のことです。
 第74回はイタリアの食文化に大きな影響を与えている食品基準・D.O.P.(Denominazione di Origine Protetta)を説明します。
 
協力者と刊行内容
http://www.ivc-net.co.jp/cucina/index.html
 
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原産地名称保護制度D.O.P.(Denominazione di Origine Protetta)


 D.O.P.は特定地域の原産品を規定された製法により生産・加工・調整された製品であることを示します。例えば有名なオランダのクラフト(Kraft)のパルメザンチーズは、原産地名称保護制度により原産地や製法等の面でこのD.O.P.規格から外れるため、ヨーロッパでは、パルマがあるエミリア・ロマーニャ地方の呼称であるパルメザンチーズと名乗れず、Pameselloと呼んでいるとのことです。

 

ワインの原産地名称保護呼称のDOCG、DOC


写真右側、DOCGの白ワイン

 ワインについては従来から原産地表示の等級制度があったことから、上からDOCG・DOC・IGT・VdTに分類されています。大まかに言うとDOCG、DOCがD.O.P.に相当します。IGTがI.G.P.に近いものです。VdTは指定対象外のワインとなります。
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D.O.P.は品質に優れた美味しい食品

 D.O.P.に指定された食品は地域特有の品質のすぐれた美味しい製品であることを示しています。言ってみれば同一食材の中で優れた食品を意味しますので、消費者が購入する際のインセンティブとなります。国外の顧客もD.O.P.指定食品を選好することから、D.O.P.指定食品となると付加価値が高まり、高い市場価格が獲得できるようになります。このためD.O.P.指定食品となるための競争が激しくなっております。  

 

原産地名称保護制度は高い品質の第一歩


パッキーノ産のプチ・トマト

 原産地名称保護制度のおかげで、イタリアでは日本で発生している「どれが偽物であるか分からない」といったような産地偽装は発生していません。原産地名称保護制度が産地を保証しているからです。ただ、原産地名称保護指定食材は価格が高いことから、庶民は日常的に味わうことができません。原産地名称保護制度がすべての問題の解決とはなっていないのです。その意味で原産地名称保護制度は、高い品質をもった食品を維持していく第一歩だということだと思います。
 
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次回予告


 自然に恵まれたイタリアでは、4月の終わり頃から房状の丸いトマトが市場に出回り始めます。そして夏の終わりに出回り始めて10月位まで収穫されるサンマルツァーノでトマトの季節が終わります。次回はイタリアの主なトマトの種類を紹介します。
 
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