冬を越すための保存用トマト作り
9月を過ぎると、温室栽培を除き、新鮮なトマトは無くなります。温室ものは、高い上に、おいしくないのです。食いしん坊のイタリア人にとって、どのようにトマトを確保するかが重大問題です。
そこで編み出されたのが、保存用のトマト作りという技法。重労働なのですが、おいしさには換えられないと、一家総出で、保存用のトマトを作ります。
生で食べてもおいしいサン・マルツァーノ。50キロのサン・マルツァーノを洗う。サン・マルツァーノは細長いスーゴ用のトマト。スーゴはトマトを煮て作るソース。パスタには欠かせない。
まだ洗ってる。何しろ50キロだから…。トマトを縦に4つに切る。一家総出のこと。
こうした単純作業には思い出話が出ることになっている。切ったトマト。
トマトをしぼる。この日のために買った電動トマト搾り機。皮が金具の口から別に出る。ようするにトマトジュースだね。
ジュースがたっぷりたまったら瓶詰め開始。こぼさないように慎重に…。
しっかりふたをした瓶をドラム缶に入れる。途中に布を挟んで沸騰の動きで瓶同士が触れて割れるのを防ぐ。おじいちゃんの慣れた手つきがすてき。
瓶でいっぱいになったドラム缶に水を注入。(この作業の前に、ガス台に乗せておくことを忘れないように)水の注入具合を監督する。
大判フライパンがふたにぴったりで、「イエイ!」の記念撮影。
沸騰してから30分グツグツ煮る。我々の夕食が終わった後も律儀にぐつぐつ。
翌朝。煮えてる。取り出し。
完了。瓶詰めして湯煎した後は悪くならない。来年のトマトの季節までトマトソースには困らない。なお、半分家の中の大鍋で煮たものは半分になっていた。
反省会の結果、半分になったものは、瓶詰めにしてから湯煎するまでに、昼食を挟んでおよそ10時間が経過しており、猛暑のおりから、発酵が始まってしまったのであろう。発酵して押された空気が瓶のふたを緩め、中のトマトを出して空気を入れ込んでしまったのだろう…ということになった。
来年は朝6時起きで作業をすること!